バルーン投光器風のデスクライトを製作します。
バルーン投光器は、その名の通りバルーン状の構造を持つ投光器です。
白い布でできたバルーン部を膨らませて、内部にあるライトのスクリーンとして光を拡散させる仕組みになっています。
夜間工事や夏祭りなどで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか?
こういうやつです
バルーン投光器、可愛いですよね。
ちょうどデスクライトが欲し買ったのですが、ちょっと普通じゃないデスクライトがいいなと思ってバルーン投光器をミニチュア化したデスクライトを作ることにしました。
完成したものの紹介ページは↓です。
製作構想
まずは制作に先駆けて構想を書き出しました。
重要な設計指針は
- 全体としてデスクライトと言えるサイズ
- 本物と同じ原理で膨らみ、光る ←重要!
- 基本セットで運用される発電機にバッテリーやコントローラを仕込みたい
- ネットに繋がってIoTみたいなことしてみたい!
こんな感じです。
発電機も再現して、バッテリー等の入れ物にするのは自分でもなかなかナイスなアイデアだと思っています。
それから、単なるカタチだけではなく、きちんと本物と同じように動作するのも僕の工作スタイルでは重要です。
設計
メカ(筐体)の設計
fusion360を使ってモデリングしました。
設計期間は1週間ほどです。
部品の選定、諸々の計算などかなりきちっと手順を踏んで設計しました。
今までの工作では適当にごまかすことが多い部分もなるべくパスせずに一貫してやってみるかというのが今回のモチベーションです。
それから部品がとってもカラフルなのは、このようにすると部品同士の境界や干渉の判別がしやすいからです。おすすめです。
ただし、干渉解析をかけると干渉部分は赤色で表示されるので、干渉解析を行う部分は赤以外にしておくなどすると良いです。
干渉解析はシンプルですが強力な機能なので、モデリングを行うときはほぼ必須です。忘れずにやりましょう。
↓fusion360の埋め込みモデルプレビューです
ちょっと重いかも。
回路の設計
コントローラとしてAliExpressで販売しているesp32-wroom32の開発ボードを使いました。
一個400円ちょっとでネットにもつながる高性能マイコンが使えるのはすごいですね。
たくさん買ってバカバカ使っています。
回路はkicadで設計しました。
こっちは割と雑です。
鉛蓄電池がバッテリーとして内蔵されていて、UPSのような感じでフロート充電で使えるようにしました。
充電回路はNJM723を使った回路です。NJM723はスイッチング電源なんかに使われるICのようですが、応用して充電の定電流、定電圧コントロールをしています。
2つの半固定抵抗で充電電圧と電流を調整できます。
そのほかは変わったことは特にない回路ですが、今回の設計ではパワーLEDの駆動に秋月電子のパワーLEDドライバモジュールを使いました。
自分で駆動回路を作るより楽でいいかなと思っています。これからも使うかも。
あとはバルーンと発電機を接続するコネクタにmini-dinコネクタを使いました。(いいのか?)
6ピンあってコンパクト、そして1ピンあたり1A流せるとのことで使ってみました。見た目がお気に入りなのでまたどこかで使いたい。
ソフトの設計
してない。するべき。
実装はespなarduinoです。
マルチコアなので、スレッドを分けてコア0でGAS(Google app script)と通信、スプレッドシートにまとめたデータを相互にやり取りします。
コア1ではメインのloopを回して、ボタン操作やLED、ファンの制御を任しています。
GASとやり取りしているデータは
- バッテリー電圧
- LED出力
- ファン出力
- USB出力電圧
の4項目で、各種データはスプレッドシートでグラフ化ができます。
逆にスプレッドシート上のセルに出力値を入れると出力を変更できます。
やっていることはスマートプランターで得た知見がもとなので、だいたいピーマンのGASシステムと一緒なのですが、大きく違う点としてはGETリクエストの部分です。
ピーマンでは基本postだけだったのですが、今回はgetを使っています。
マイコン等からGASで作ったwebアプリにアクセスするとき、postリクエストは割とすんなりできるのですが、getは一筋縄では行きません。
GASのデフォルトとして、get時は直接ではなく一旦別の緩衝ページにリダイレクトされてしまうので一発で取りに行くことができなくなっています。
調べると同じことをやろうとしている方もちらほらいらっしゃって、実際少し工夫するとできるようになるのですが、初心者なのでだいぶ苦しめられました。
次このようなものを作るときはGASを使うのをそろそろやめて、firebaseあたりを使いたいなと思っています。
いい加減web技術に詳しくなりたいですね。
それからマイコンのリソースはまだまだ余っているので、mp3再生機能でもつければよかったかも。
製作
メカ(筐体)の製作
今回の工作では制作過程を動画にしたい!という事もあって、製作中の様子を撮影してみました。
撮影してみて分かったのですが、製作においてその過程を動画で残すということ、こ~れが難しい難しい。
まず、単純に撮影機材が邪魔なのと、画角を満足行くものにすることが困難です。
撮影機材と言ってもプラバンをスタンドにした大学から支給されているタブレットだけでしたが。
動画の製作を最も難しくしているのが、動画では一貫した作業が求められるという点です。
私の製作スタイル、といってもほとんどの人がそうだと思うのですが、ものを作るときはあーでもないこーでもないと 色々試して 試行錯誤しながら動作まで持っていくんですね。
もちろん設計がウルトラ完璧で、どんな問題も見据えることができるのならば一発で完成するのですが、ある程度の規模のものづくりになってくるとそうは行きません。
設計自体は変更されなくても加工の節々で違う手順を踏んだりする必要が出てきます。
今回も部品の製作中に、「あれ、ここどうやって加工するべきかな?」とかいろんな立ち止まりポイントが出てきまして、加工動画を連続して撮ることができなくなったりしました。
最終的な動画では一貫したストーリーを作る必要があるので、シーンの前後で部品が異なっていたりすると厄介です。その間の過程を説明するには余計に動画を追加しなくてはならないですし、追加工の原因がうまく説明できる内容として撮影できるとも限りません。
あとあと編集時になって、「追加工の影響で一つ前の作業をもう少し変えて撮りたい!」となっても、それは不可能です。
単純に作業時間も増えていくので、あれこれ考えながら加工をするのは非常にストレスでした。
プロデュース能力と言うんでしょうか。それが欲しくなりますね。
今回のパーツは大体が3Dプリンタで製作されました。
随所にインサートナットと呼ばれる真鍮製の部品を使っています。
3Dプリンタで部品をネジ止めするとき、多くはナットをはめ込んで使うと思います。
私がよく使う方法は、プリンタパーツに直接タップでネジを切って締結する方法です。
大体のケースではプリント部品に直接ネジを切る方法で事足りますが、さらなる強度が欲しい場合や長持ちさせたいときはインサートナットを使うことをおすすめします。
インサートナットを使うと、簡単な構造と作業でプリンタパーツにおいてネジの規定トルクで締結するときの十分な強度を得られます。
インサートナットについて最初は色々とナメていたのですが、大学で先輩と実験してみた所なかなかナイスな結果が得られました。
今後はインサートナットを使ってプリンタパーツの性能をフルに引き出すような使い方をしていきたいです。
インサートナット周りについて、いつか別途記事を書きたいと思っています。
塗装も頑張りました。
3Dプリンタパーツだと、表面の積層痕をそのままにしている作品も多いのですが、(少し)頑張ると劇的に美しくできます。
この辺についても共有したいハウツーが色々とあるので、記事を書きたいですね。ついでに動画も上げたい。
プリントした部品は紙やすりで軽くバリを落とします。
パテを塗ります。
パテは「グレージングパテ」というパテです。
ホームセンターで1000円で買いました。たくさん入っていて、性能も申し分ないです。
モデラー等の人などタミヤとかのパテを使っている記事が多いですが、3Dプリンタの溝埋めはパテを多く消費するので、コスパで圧倒しているこの製品がおすすめです。
ラッカー薄め液で薄めつつプリンタパーツに塗ります。
厚塗りにします。
塗ったら角ブロック等を使って平面が出るまで研磨します。
削りすぎたり、パテが足りなければ追加塗りして研磨を繰り返します。
薄い積層パーツは水を含むと変形するので、変形量を加味して研磨をします。
平面が出たらよく乾かしてから塗装
一回の塗装は薄塗りが原則です。
液ダレするときれいになりません。
この塗装はホコリが乗ってしまって中央付近に欠けができてしまいました。塗装ブースを用意するといいと思います。
回路の製作
回路は発注してプリント基板にするつもりだったのですが、すぐに作りたかったのでユニバーサル基板でやってしまいました。
その後のソフト開発がだいぶ難航して、しばらく放ったらかしになった期間もあるので、今思えば発注しておけば見栄えも良くてよかったなと思います。次は初手発注で行きたい。
回路は後で考えればいいかと思って後回しにしていた結果、組み込みはひどい感じになりました。
大いに反省しています。
終わりに
割と頑張って作った作品です。
の割には動画の再生回数が伸びなくて悲しい。
友達に聞いてみたらバルーン投光器の知名度そんなに高くないらしいです。
そんなこんなでモチベ下がったのと、大学が忙しくなってきたこともあり、ブログの記事を書くのもだいぶ後回しにしていました。
これで供養とします。
完
動画見てくださるとうれしいです!
コメント